敷金・保証金・原状回復等の返還請求事件の判例
名古屋地裁判平成2.10.19判例時報1375号117頁
畳・ふすま・風呂釜などの取替や小修理は賃借人の負担で行うとの修理特約等について
【判決要旨】
畳、襖、障子の取替えその他の小修繕は賃借人が行うとする修繕特約は賃貸人の修繕義務を免除することを定めたものにすぎず、積極的に賃借人に修繕義務を課したとするには、さらに特別の事情が存在することを要する。
よって 「故意、過失を問わず毀損、滅失、汚損その他の損害を賠償しなければならない」 とする特約には、通常の使用によるものは含まれない。
名古屋地裁判平成6.7.1
畳裏替え、襖張替、じゅうたん取替え、壁、天井等の塗装の原状回復特約について
【判決要旨】
契約終了と同時に本件建物を原状に回復して明渡さなければならないとする原状回復特約について、通常の使用に必然的に伴う汚損・損耗は本件特約にいう原状回復義務の対象とはならない。
最高裁小判平成17.12.16
賃借建物の通常の使用に伴い生ずる損耗について賃借人が原状回復義務を負う旨の特約について
【判決要旨】
賃借物件の損耗の発生は賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものである。賃借人が社会通念上通常の使用をいた場合に生ずる賃貸借物件の劣化や価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の回収は、賃料の中に含ませてあると解すべきである。
そうだとすると、賃貸借において生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになってしまう。
よって賃借人に同義務を負わせるためには少なくとも特別の負担となることが契約書に具体的明記してあるか、仮に契約書になくても賃貸人が口頭で説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、それを合意したものと認められるなど、その旨の特約が明確に合意されていることが必要である。



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